今の時代にこそ改めて考えてみたい 名匠ジェーン・カンピオンによる「ピアノ・レッスン」が提示する愛する者とのコミュニケーション
#芸能 #韓流・海外スター #コラム 2024.7.25

「みんなの恋愛映画100選」などで知られる小川知子と、映画活動家として活躍する松崎まことの2人が、毎回、古今東西の「恋愛映画」から1本をピックアップし、忌憚ない意見を交わし合うこの企画。第15回に登場するのは、「ピアノ・レッスン」(1993年)。第94回アカデミー賞にて、「パワー・オブ・ザ・ドッグ」(2021年)で女性監督として3人目となる監督賞を受賞したジェーン・カンピオンが、1993年に女性監督で初のカンヌ国際映画祭最高賞のパルム・ドールを獲得した作品だ。 物語の舞台は19世紀半ば。写真でしか知らない初めて会う相手との結婚のために、スコットランドからニュージーランドへと渡ったエイダ(ホリー・ハンター)と娘のフロラ(アンナ・パキン)。2人の過酷な船旅には、1台のピアノが伴われていた。6歳の時に「自ら口をきかない」ことを決意したエイダにとって、ピアノこそが自身の思いを伝える道具だったのだ。自分を妻として迎え入れた夫スチュアート(サム・ニール)がいるのにもかかわらず、原住民と同化した男、ベインズ(ハーベイ・カイテル)に惹かれていくエイダの激しい愛の物語が描かれる。