北野武監督が体現する「本能寺の変」...映画「首」にみる「北野イズム」
#芸能 #俳優・女優 #コラム 2024.7.20

日本映画専門チャンネルで8月11日(日)にTV初放送される、北野武監督19本目となる「首」は、多くの意味で「世界のキタノ」の集大成を感じさせる作品だ。題材となったのが、歴史上でも有名な「本能寺の変」。天下統一をめざす織田信長が、家臣の明智光秀や羽柴秀吉を集め、謀反を起こした別の家臣、荒木村重を探させる。その裏では、秀吉が自ら天下を取ろうとする謀略も進んでいた......。戦国時代を背景に、男たちの濃厚な人間ドラマ、駆け引きや裏切りが予感される設定は、まさに北野映画の王道だが、冒頭からいきなり、戦乱に巻き込まれた武士のショッキングな末路が画面に大映しとなる。まるで監督が「今回も遠慮ナシで行くぞ」と宣言しているかのようだ。 実際にこの「首」は、北野監督の直近の代表作である「アウトレイジ」3部作を、戦国時代に置き換えたようなムード。監督第1作の「その男、凶暴につき」から、「ソナチネ」や「HANA-BI」を経由し、「アウトレイジ」まで通底する、凶悪犯罪を巡っての男たちの確執が、そのまま時代劇に変換され、そこはちょっと新鮮かもしれない。武器が銃やナイフから、武士の刀に代わっても、容赦のない瞬間が用意され、北野映画の真骨頂はキープされた。