<宇垣美里のときめくシネマ>ああ、友達に会いたい! 最高の友情を見せてくれる旅立ちムービー
#芸能 #韓流・海外スター #コラム 2024.6.28

3月は別れと旅立ちの季節。進学や就職でそれまでの世界を離れ、新しい場所へと向かう中で疎遠になる友もいるだろう。クラスで会わない人や違う地域で暮らす人と関係を続けるには、それなりのパワーが必要だ。半身のように思っていた相手でさえ、人生のタイミングによっては遠い存在になってしまうことがある。でも毎日一緒にいる人が友達になるわけじゃない。その日の出来事すべてを共有することばかりが、友情の形じゃない。たとえ遠く離れていても、どうか幸せでいてくれますようにと祈る存在が、ずっと味方だと信じられる存在こそが、友。距離なんて、何でもない。そう、たとえ二度と会うことがなくたって。 「マイ・フレンド・フォーエバー」(1995年)は邦題の通り、そんな永遠に続くであろう友情を描いている。孤独な少年エリック(ブラッド・レンフロ)の隣家に、幼い頃の輸血が原因でHIVに感染した少年デクスター(ジョセフ・マッゼロ)が引っ越してきた。当初は彼を警戒していたエリックだったが、次第に打ち解け、まるで兄弟のように毎日一緒に遊ぶようになる。 デクスターの病気を治そうとお菓子を大量に食べたり、野草を煎じて飲んでみたりと、2人の少年の暴力的なまでの無邪気さにハラハラしっぱなし。けれどその日々のなんと楽しそうなことか。愚かしい社会の偏見の中で、互いを信じ支え合う2人の友情だけが美しく輝いている。ずっと友達のいなかったデクスターはエリックに出会って、不憫な病気の少年ではなく、ただのいたずらばかりする悪ガキになることができた。 やがてニューオリンズでHIVの特効薬が発見されたとの新聞記事を目にした2人は、手作りのボートに乗って川を下り、治療法を探す旅に出る。無謀なほどの行動力は子どもならでは。少年たちのひと夏の冒険・青春映画の金字塔である『スタンド・バイ・ミー』(1986年)が好きな人なら、きっと刺さるはず。