『キル・ビル』を観ればわかる!タランティーノは絶対にこっち側の人間だ
#芸能 #韓流・海外スター #コラム 2024.7.1

黄色のジャンプスーツに身を包み、日本刀片手に敵をばったばったと斬り倒す金髪の女性に、鎖鉄球を振り回す制服姿の女子高校生、バラエティ番組の効果音などで必ず耳にしたことのあるあのテーマ。映画そのものを実際に観たことはなくとも、皆何かしら人生の中でその要素に遭遇したに違いないクエンティン・タランティーノ監督の代表作の一つ『キル・ビル』シリーズ。劇場公開から20周年となる今、なんとなく知っているようで触れてこなかった、そんな人もぜひこの機会にご覧いただきたい。観ればわかる、タランティーノは絶対にこっち側の人間だし、この映画を誰よりも楽しめるのは今の日本を知る人たちだから! 『キル・ビル』シリーズはもともと一つの作品を前後編に分けた『キル・ビル Vol.1』(2003年)と『キル・ビル Vol.2』(2004年)からなる二部作だ。前編となる『キル・ビル Vol.1』で、元殺し屋のザ・ブライド(ユマ・サーマン)は結婚式当日にかつてのボス、ビル(デビッド・キャラダイン)が率いる殺し屋たちの襲撃を受け、婚約者や参列者は惨殺。お腹に子を宿していた彼女も銃で頭を撃ち抜かれ、昏睡状態となる。4年後、奇跡的に目覚めた彼女はすべてを奪ったビルやその手下たち実行犯5人への復讐に生きることを誓う。 劇画調のタッチで描かれるシリアスな復讐劇がベースにありながら、激しいアクションシーンのたびにどばどばと噴水のように迸る血しぶきは真っ赤、手足や首がぽんぽん飛び、スプラッター描写に容赦がない。そこにプラスされるコテコテなトンチキ日本描写と、すべての要素が強すぎてもはやカオス。日本へと舞台が移った後の日本刀持ち込み可の飛行機やブライドの着るゆるかわオキナワTシャツなど、ツッコミどころは枚挙に暇がなく、違和感もここまでくればクセになる。 海外俳優たちによる日本語セリフは拙く、日本語母語話者としてはかなり違和感を覚えるものではあるけれど、それがまた独特の雰囲気を醸し出している。特にルーシー・リュー演じるヤクザの親分、オーレン石井の「ヤッチマイナー!」は折に触れて思い出す名シーン。なんだこのインパクト、絶妙なチープ感!