『アドリブの天才』イ・ドンフィは人間的にも魅力的!|Kカル!
#芸能 #韓流・海外スター #コラム 2023.3.23

『恋のスケッチ~応答せよ1988』や『カジノ』など様々なドラマに出演してきた名わき役俳優イ・ドンフィ。デビュー以来、「イケメンじゃないなら、実力でのし上がらなければ!」と演技の幅を広げ、今では"大人なのに、ちょっと残念な脇キャラクター"役を当たり役に、彼にしかできない唯一無二の演技で人気を博しています。 彼の代表作の一つが、『エクストリーム・ジョブ』。解体目前のポンコツ麻薬捜査班が、張り込みのためにキチン店を偽装営業したところ、うっかり繁盛してしまう、というアクションコメディ映画です。劇中イ・ドンフィさんが演じているのが、麻薬捜査班の一人ヨンホ。真面目で仕事に一途。キチン店が繁盛しても、ひとり本分を忘れず、捜査に集中しようと孤軍奮闘する人物なのですが、そんな堅物だからこそ、真面目過ぎる姿がなんかおもしろい、そんな絶妙なキャラクターです。例えば、キチン店が繁盛したことで潜伏計画が失敗してしまうシーン。それまでに仲間や状況に対して抱えていた心の声が爆発したヨンホは、「なんでどんどん繁盛しちゃうんだよ!!」と絶叫します。本来なら店が繁盛することはいいことなのに、ヨンホにとっては、"全然うれしくない"という思いが、その一行のセリフに集約されていて爆笑してしまいました。なんとこのセリフ、ドンフィさんのアドリブなんだそうです。思えば、『恋のスケッチ~応答せよ1988』で話題になった「ドクソン、どこにいるの?僕の声が聞こえる?」というセリフもドンフィさんのアドリブでした。ドンフィさん曰く、「もともと台本覚えが悪いので、NGを出したと思われないためにアドリブを始めた」そうですが、今では、ご自身の俳優としての価値はアドリブにある、とアドリブにプライドを持っているんだそうですよ。 『エクストリーム・ジョブ』は、イ・ドンフィさんにとってはターニングポイントになった作品です。実はイ・ドンフィさんはこの作品に出る前、本気で芸能界から足を洗おうと考えていたそうです。そのため1年ほどの空白期間があったと言います。そんな中でこの作品に出合い、韓国映画史上歴代2位の観客を動員するほどの大ヒット。さらに主演俳優を多く抱える大手芸能事務所「キーイースト」と専属契約。これからの活躍はもう約束されているようなものです。 以前、ドンフィさんにインタビューさせていただいたことがありました。「ご自身の人生を懸けた"賭け"は?」という質問に、「猫を飼ったこと」と斜め上の回答が。他の俳優さんは、「職業として俳優を選んだこと」など真面目に話しているのにもかかわらず、それでいいの!?と思わず突っ込んでしまいましたが、よくよく聞くと、「猫アレルギーなのに猫を飼うことにした」という、リアルに命がけの"賭け"という話で、他の俳優人たちも大笑い。本番ではアドリブで楽しませてくれ、撮影の合間にはトークで楽しませてくれる。その姿を見て、俳優としてはもちろん、ひとりの人間として魅力的だからこそ、作品のオファーが絶えないんだ、と感じました。 ファッショニスタとしても有名なイケオジ ドンフィさんですが、ホテルの無料コーラをがぶ飲みしまくるなど、「イケオジ」らしくない一面も。そんな庶民的な面も、愛される秘訣なのかもしれません。 聖心女子大学卒業後の2001年に渡韓。韓国外国語大学大学院在学中の2002年から、韓国から日本に輸出されるK-POP紹介番組などに出演。2004年からは日本の韓流ブームに乗り韓流雑誌への寄稿を開始。その後、出版・テレビ・映画といったメディア業界を中心に、ライター、コーディネーター、翻訳家として日々活動中。 「Kカル! powered by スカパー!」とは、2016年4月より読売新聞夕刊「POPSTYLE(ポップスタイル)」紙面にて「シムクン♥韓流」として始まったスカパー!とのコラボ連載企画です。 2019年4月からは枠はそのまま内容がリニューアル!お隣だけど、まだまだ知られざる魅力がいっぱいの韓国。その文化、社会、流行、グルメなどを「Kカルチャー」=「Kカル」と称して毎月紹介します。
当サイトでは、「Kカル!」専属ライター、酒井氏によるコラム記事を紹介していきます。「Kカル!」は、毎月第4水曜日にて連載中です。
※読売新聞夕刊をご購読でない方は、駅売店などでお求めください。50円です。また、よみうりショップでも紙面販売を受け付けております。
詳しくは、こちら↓の紙面購入方法をご覧下さい。
http://blog.yomiuri.co.jp/popstyle/yukan.htm